No.177 【GG-1】先行試作機と量産機 ワークスK 2013/09/15(日) 08:31:44
No.174 2013/09/12(木) 21:52:38 三好 隆夫
もう1台のGG−1
ペンシルバニア鉄道博物館のもう1台のGG−1の写真をアップいたします。リベットの具合などわかるでしょうか。
その後は4−8−2のCoast to Coastの巨大テンダー付のM1でしたか。これら近代型蒸機は2015年完成予定の扇形庫に収蔵して、復元工事を行うと博物館のHPに書いています。
No.177 2013/09/15(日) 08:31:44 ワークスK
【GG-1】先行試作機と量産機
こりゃあホント、別物の印象ですね。不思議なものです。
塗装の状態とか、ライニングの有無、光線の回り具合なんかもあるのでしょうが、この差こそがレイモンド・ローウィ氏の仕事なんですね。
ご参考までに、当方が所有する両方をお見せします。まあ、モデルがチャンと実物どおりに作られているかという疑問はありますが、ともあれ、車体のプレス型は異なります。全容をお見せできないのは、手前の4888号機が修理中ということで‥‥。
で、車体の溶接ですけれど、ひずみ(歪)は必ず出ます。溶接は魔法ではありません。
接合部分の材料を一旦溶かすわけですから、1,000度以上の高温になります。すると、周囲の母材が熱膨張をします。次に溶融していた金属が冷えて固まると、母材は徐々に縮み始めます。もちろん、それらが均一に起こるのであれば問題は無いのですけれど、実際には温度ムラが必ず発生して、ベコベコになってしまいます。
逆に、歪が出ていないような溶接は、チャンと食っ付いていないとも言えます。
それとこのGG-1の車体、このままの状態で溶接したとなると、相当な腕前が必要です。「立向き姿勢溶接」で検索してみてください。
さて、この歪を無くすためには、“お灸”をスエます。弛んでいるところをガスバーナーで炙って赤熱させ、直ぐに水を掛けます。すると局部的な体積縮小が起こって、ピンと張ったようになります。難しい言葉でいうとマルテンサイト変態という奴です。要は、障子を霧吹きで湿らせると、ピンと張るようなものです。
ただしこれ、大変に面倒です。とくに機関車の場合は、外板が厚いので難しいはずです。戦時中に出来たEF13やED42はやっていません。ガス代と手間代がもったいないとか、優秀な技術者が徴兵されてしまったのでしょう。
それに対して、電気スポット溶接は、歪が出難い手法です。現代の乗用車などはこれで組まれます。瞬時に熱して瞬時に冷やしていますから、周囲の母材が熱膨張しているヒマが無いのです。
ローウィ氏の時代の自動車がどういう溶接を行っていたかは判りません。ただ、彼がこの辺りの相違を知らなかった可能性は大いにあります。本来、溶接工法の採用は、単純な話ではなかったのです。
現代でも、鉄道車両に不慣れな工業デザイナーは、完成してから驚くといいます。
もうひとつ、溶接で忘れてならないのは、栓溶接(プラグ溶接)の存在です。外板を骨組に貼り付ける場合に用います。板に孔を開けて、それを骨組みに密着させ、その孔縁の内側を溶接するものです。作用は、リベットでの接合と一緒です。
これを実施すると、孔の周りには骨と板の隙間ができていることになります。そしてここは高温に晒されて酸化し始めているにもかかわらず、錆止め塗装ができません。すなわち、錆が進展します。錆は体積が増えますから、栓溶接の周りが膨れてきます。
リベット接合ではどうかというと、栓溶接ほどではないにしろ程度問題で、同じことが起こります。これが先行試作機のスソ周りに見える歪なんでしょう。ただし、溶接歪はありません。大昔の機関車やテンダーがピシッとできている根本的な理由です。
あと、パテの問題もあります。皆さんもモデルで経験されているように、ツヤの無いパテ付けの段階では滑らかに見えても、上塗りでピカピカになるとベコベコが目立ってきます。実物は面積が大きいので、難しい問題です。汽車会社の完成写真は、それを嫌ってワザワザ、ツヤケシ塗装を施して撮影したなどという話もあったくらいです。
パテ付けは簡単なように見えて、ボランディアや、めったに作業しない方には難しいことだと思います。
ラベル:PRR
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