2004年06月09日

ベーカー・カプラーの起源 2007/09/29-2007/11/23 (29)

●508 ベーカーさんって? ワークスK 2007/09/29 18:11
 509 ベーカーの取付高さは? ワークスK 2007/09/29 18:12
 510 Re:ベーカーさんって? 松本哲堂@風雅松本亭 2007/09/30 21:59
  511 Re:ベーカーさんって? ワークスK 2007/10/01 19:44
   513 ベーカーさんを探してみたが  宮 崎 繁 幹 2007/10/02 23:06
    514 Re:ベーカーさんを探してみたが dda40x 2007/10/03 00:06
     1066 Re:ベーカーさんを探してみたが 佐々木精一 2009/08/28 09:02
  515 ベーカーさんをMR誌に発見! ワークスK 2007/10/03 23:42
   517 Re:ベーカーさんをMR誌に発見! dda40x 2007/10/04 08:41
   520 Re:ベーカーさんをMR誌に発見! 宮 崎 繁 幹 2007/10/04 17:01
   522 Re:ベーカーさんをMR誌に発見! 松本哲堂@風雅松本亭 2007/10/05 08:04
   535 再びベーカーさんを探して 宮 崎 繁 幹 2007/10/14 23:08
    536 Re:再びベーカーさんを探して dda40x 2007/10/15 00:09
     554 砧型のことでせうか  宮 崎 繁 幹 2007/10/23 20:40
      556 Re:砧型のことでせうか dda40x 2007/10/24 10:48
      560 「科学と模型」1941年10月号の記事 ワークスK 2007/10/26 20:22
       561 Re:「科学と模型」1941年10月号の記事  宮 崎 繁 幹 2007/10/26 23:56
        562 Re:「科学と模型」1941年10月号の記事 松本哲堂@風雅松本亭 2007/10/27 08:56
        563 Re:「科学と模型」1941年10月号の記事 dda40x 2007/10/27 08:57
       564 砧型は実用になったのでしょうか? ワークスK 2007/10/27 16:36
        565 砧型≒ベーカー型?? dda40x 2007/10/28 01:10
         571 日本におけるベーカー・カプラー 佐々木精一 2007/10/30 13:29
          572 日本におけるベーカー・カプラー その2 佐々木精一 2007/10/30 17:23
           579 日本におけるベーカー・カプラー その3 佐々木精一 2007/10/30 21:15
            1067 Re:日本におけるベーカー・カプラー その3 佐々木精一 2009/08/28 09:19
         577 Re:日本におけるベーカー・カプラー ワークスK 2007/10/30 20:53
          580 Re:日本におけるベーカー・カプラー オフ会 佐々木精一 2007/10/30 21:47
        631 米国の鉄道模型用連結器  宮 崎 繁 幹 2007/11/21 23:55
         637 Re:米国の鉄道模型用連結器 ワークスK 2007/11/23 20:27
追記 キュピーズKUPEEZEについて


 508 ベーカーさんって? ワークスK 2007/09/29 18:11

NMRA型カプラーに引き続き、ベーカー型カプラーについても鉄道模型大辞典に書いてみました。こちらもところどころ、不明な点があります。たぶん、ベーカーさんという方が考案したのでこの名前があると思うのですが、記述が見つかりません。また、鉄道模型社や天賞堂の製品が手元にないので、ループの形状をお示しできないのは大変に残念です。知っている人は知っているのですが……
==============================================
ベーカー・カプラー Baker coupler
HOゲージの初期に登場した自動連結解放式連結器の一種で、アメリカでは固定式からホーンフック型への過渡期といえる終戦直後から1960年頃の間に、ジョン・アレンのG&D鉄道など一部で愛用された。日本では1950年から1980年頃までHOゲージの普及と共に広く使われ、その後はケイディ型に移行した。固定部のバッファー膨らみ(ループと呼ばれる)形状が、アメリカのオリジナルでは向かって右で、鉄道模型社は踏襲したが、天賞堂T-1が左、カワイK-1(写真)とツボミが両側とした。素材は概ね黄銅板金だが、ループにダイキャストを用いた例がある。アメリカではフックをバネで押し下げる方式が採用されたが、日本製はバネが無く構造簡単な重力式だけであった。
 標準取付寸法はループ上面がレール面上11.5mmで、車体へは固定取付が推奨された一方、急曲線通過を考慮して首振り式とする例も多かった。【TMS誌1955年3月号ミキスト参考】なお、ループ部を自動連結器の頭部に、フックの解放腕部分を連結ホースに見立てているとも言われる。カプラーを絶縁取付しないと、連結時に車体極性の相異でショートする。
 解放ランプは市販されたことが無く、図の様なポイントマシンを利用して平板を上下させる装置が提案された程度であった。【"模型と工作"1964年12月増刊号合葉博治氏の記事から転載。本来はフック解放腕下部がレール面上1.5mm程度のクリアランスを必要とするが、取付高をループ上面が10.5mmとした錯誤が原因と思われる】一般には、マイナス・ドライバーの先で解放腕を押し上げて解放された。【その後、アメリカ型鉄道模型大辞典の方を訂正していますので、この文とは大きく変わっています】


 509 ベーカーの取付高さは? ワークスK 2007/09/29 18:12

TMS1957年10月号ミキストに、ベーカー取付高についての記述がありますので、一寸長くなりますが引用します。

「元来、16番の規格ではカプラー中心までの高さは10.5mmである。これはダミーを使用の場合であってベーカー等の時ではない。アメリカのHOの規格(NMRA)は10mmである日本の16番では、日本型を中心としつつ世界的規格を外さぬ様にという考えで種々の寸法を決めていったのであるが、このカプラー高さだけは合わせるわけにいかなかった。だから米国型でも10.5mmが本当である。しかしながら、模型店のキットなどはアメリカ向けということを根本として作られることが従来は少なくないので10mm高で作られていることが多い。またほとんどの人がベーカーに移ったためベーカーの枠上面まで11.5mmの規格の方が大切になってしまい、いつしか10.5という寸法は忘れられつつあった」

この枠上面11.5mmは文脈で判断すると16番の規格のようです。同じ理屈で、アメリカでは枠上面11.0mmだったのかとも思いますが……。ちなみに1959年刊「鉄道模型の作り方」で菊地文雄氏も枠上面11.5mmとされています(右図 2018-07-06追記)。


 510 Re:ベーカーさんって? 松本哲堂@風雅松本亭 2007/09/30 21:59

ベーカー連結器のことは少々調べてみましたが、歴史的な背景についてはさっぱり判りませんでした。フライシュマンがずーっとベーカー型を使ってきていましたけれど、これもフライシュマンがベーカー氏?となんらかの関係があるのか、或いは、単に対米輸出を考えてベーカー型を選んだのか、、、。


 511 Re:ベーカーさんって? ワークスK 2007/10/01 19:44

「ベーカー」という名前は、ベーカリーなど、なにかドイツ系の様なイメージがありますから、フライシュマンと結びつく可能性は大いにあり得ると思います。もう少し古い雑誌を当たってみたいと思います。

 ところで、鉄道模型大辞典の挿絵として最初、左に示す模型とラジオの臨時増刊号のものを使おうと思っていたのです。ところが、この左と右のフックが上に上がっていて、車体に付けた状態と異なっていることが気になり、諦めた経緯があります。たぶん、部品として机の上に置けばこんな形で、鉄道模型をご存じない方がイラストを描かれたのではないかと思います。1901がK-1(カワイ)で、1903がT-1(天賞堂)です。
 さて、真ん中はなんだと思われますか? 同じカプラーなんですけれど…… 何を隠そうX2F(シノハラ)なんです。当時何も知らない私は、頭を捻ったものです。

 2枚目の写真は、エンドウ(有限会社遠藤商店模型製作部)のカタログに掲載されているベーカーです。大量生産向きとして、巧い設計ですよね。ただ、これ、首を振る構造としたとき、推進でどうなるか、内当たる面がカーブしているので、座屈がちょっと心配です。まあ、固定で使う分には効果的なのでしょうけれど……


 513 ベーカーさんを探してみたが  宮 崎 繁 幹 2007/10/02 23:06

この話題は、面白いですね。我々くらいの年代のモデラーなら誰でも知っているベーカーカプラーの由来が、実はあまりよく判らないなんて。知的な遊戯って感じで、私もホンの少し調べてみました。

そのアプローチのやり方は特許検索です。模型と云ったって、これだけの発明なら特許が取られているだろうと思ったんですが・・・。みつかりませんでした。でも少し収穫はありましたよ。

米国特許の旧いもので、玩具並びに模型用の自動連結器の表題で取得されたものの中に、ベーカーカプラーと原理的に同じと思われるものがありました。USP2261258で、ロードアイランド州のGeorge G. Kinnearと云う方が、1939年に出願し、1941年に特許となっています。ループ部分が凸型ではなく、実物の自連のナックル状ですが、連結・解放の原理は、ベーカーと同じとみました。この特許は、私が見た範囲では、戦前に模型用連結器に関し取得された唯一の米国特許のようでした。

それ以降のものもザット見渡してみましたが、模型の自動連結器も、実物の自連に似せた考案が多数あって、全く新しい発想をするのは、難しいんだなぁ、と感じました。その点、ベーカーや、X2Fは、模型的な発想から、作られたカプラーのように、感じます。

仕掛人のワークスKさんはじめ、ご参加の皆様、是非歴史の謎を解き明して楽しませて頂きますよう!!


 514 Re:ベーカーさんを探してみたが dda40x 2007/10/03 00:06

> 米国特許の旧いもので、玩具並びに模型用の自動連結器の表題で取得されたものの中に、ベーカーカプラーと原理的に同じと思われるものがありました。

宮崎さん、こんばんは。面白い物を見せて戴きました。私もあちこち見て楽しんでいます。
ベーカーはループが大きいのですが、これはそれを狭くする工夫をしています。内容はベ−カーそのものです。USP2594444をご覧ください。1950年出願の特許です。


 515 ベーカーさんをMR誌に発見! ワークスK 2007/10/03 23:42


持ってる限りのモデル・レールローダー誌をひっくり返していたら、ついに発見しました!

オハイオ州デイトンのBaker MFG CO.ですね。同社の広告は1945年から現れて、1949年まで続いています。最期の2,3年はカプラーはなくなって、パワートラックを宣伝していますが、写真がないのでどんなものか判りません。また、カプラーについて、写真があるのは、この2つの広告だけです。左が46年1月号、右が46年4月号です。HO以外にSとOがあったんですね。Mechanical Rampも売っていたものの、どんなものなのでしょう。カプラー本体より安いのが気になります。たぶん、MR誌の製品紹介で取り上げられているはずですが、当方が全ての号を所持しているわけではないので、見つけられないでいます。

 何か体中が痒くなってきましたので、風呂に入ります(^_^;) 取り急ぎ、ご報告まで。


 517 Re:ベーカーさんをMR誌に発見! dda40x 2007/10/04 08:41

>> 持ってる限りのモデル・レールローダー誌をひっくり返していたら、ついに発見しました!

これは大発見ですね。MRに載っているとは!!1960年代の終わりごろのMRに、「日本では"Baika"カプラーなるものを使っている。」などと書いてあるのを見た覚えがあります。Baikaとはベーカーの音訳です。その編集者がたまたま知らなかったのか、アメリカにはそんなものが存在しなかったのか、どちらだろうと長らく悩んでいました。
貴重な情報に感謝します。


 520 Re:ベーカーさんをMR誌に発見!  宮 崎 繁 幹 2007/10/04 17:01

ワークスKさん、やりましたね!本家の米国ではあまり受け入れられず、日本で普及したため、米国では日本原産だと勘違いされている方もいるようです。
私も来週時間が出来たら、旧いMR誌をひっくり返してみることといたしましょう。


 522 Re:ベーカーさんをMR誌に発見! 松本哲堂@風雅松本亭 2007/10/05 08:04

ローダー誌の広告の写真では、上から見ると右手で握手するような形、に枠が膨らんでいますが、確かこれがベーカー型本来の形状ですよね。連結し易さ優先で連結器枠を左右に膨らませてしまったカワイのK1型のような連結器は、本来のベーカー型ではなくてベーカー型亜種である云々、と言うような記述を「ミキスト」で呼んだような記憶があります。


 535 再びベーカーさんを探して  宮 崎 繁 幹 2007/10/14 23:08

ワークスKさんが、先鞭を付けてくれたので、その前後のMRをあちこち見てまいりました。BAKER MFG. CO.の広告初出は、1944年11月号のようで、最初は自作家やクラフツマン、発明家などの為にオーダメードで、製作や加工を請け負うCustom manufacturingを宣伝しており、後にカプラー等の自社製品を発売してからも、引き続きこの商売は続けていたことが、その後の広告から判ります。

ベーカーカプラーについて初めて同社の広告が触れたのが、1945年10月号です。「何年にも亘る実験と幾つかのレイアウトで操作してみた結果」であると書いてあり、戦争中(或いは戦前?)から研究していたようです。翌11月号に、11月1日より出荷開始との記載があり、そして12月号で、ワークスKさんご紹介の写真が初めて出ました。その後は、写真があったりなかったりですが、ベーカーカプラーの宣伝文句が入った同社の広告は、ほぼ毎月出ているようです。1946年12月号では、「何千もの鉄道模型人が、そのより良い操作性故に、新型のカプラーを受け入れています」と云う宣伝文句が見えますが、ベーカーカプラーの宣伝文は、翌年1947年2月の同社広告に出たのが最後のようです。その後も同社はMRに広告を出稿していますが、ワークスKさんがご指摘の通り他の製品を宣伝するものです。

ベーカーカプラーの製品紹介がこの頃の号に載っていないか、注意して探しましたが、みつかりません。終戦直後ですから米国と雖も、模型の新製品などあまりなく、新製品紹介(Trade Topics)の掲載も毎号はないような状況です。しかし他社のカプラーの紹介がひとつありましたので、同社はMRに見本を送って紹介を依頼することを、しなかったのかもしれません。

TMSのミキスト欄で山崎主筆が、「やっとのことでベーカー形が発売された」と記しているのが、昭和25年9月号です。本家が発売して約5年後のことになりますね。しかし、山崎さんは続けて、「科模誌上でおすすめしてから8年目である」と書いているのです。これが正しいとすると、山崎主筆は、ベーカーの開発段階において既に、このカプラーのことを知っていたことになり、大した慧眼だと云うことになりますね。私は戦前の科学と模型誌は、持っていないので、この元記事を見ていませんが、どなたかご覧になっている方がおいででしたら、ご紹介ください。

宮 崎 繁 幹


 536 Re:再びベーカーさんを探して dda40x 2007/10/15 00:09

> TMSのミキスト欄で山崎主筆が、「やっとのことでベーカー形が発売された」と記しているのが、昭和25年9月号です。本家が発売して約5年後のことになりますね。しかし、山崎さんは続けて、「科模誌上でおすすめしてから8年目である」と書いているのです。これが正しいとすると、山崎主筆は、ベーカーの開発段階において既に、このカプラーのことを知っていたことになり、大した慧眼だと云うことになりますね。私は戦前の科学と模型誌は、持っていないので、この元記事を見ていませんが、どなたかご覧になっている方がおいででしたら、ご紹介ください。

宮崎さんこんばんは。またまた、すごい話になってきましたね。「科学と模型」誌が国会図書館にありそうもないのですが、調べなければなりませんね。そのアイデアがどのような形で発表されていたのかが知りたくなって来ました。


 554 砧型のことでせうか  宮 崎 繁 幹 2007/10/23 20:40

dda40xさん&皆さん、こんばんは。

たかが連結器、たかがベーカー型と思うことなきにしもあらずですが、何かありそうだと云う気がするのに、そのままにしておくのは気が進まない。という訳で、更に歩を進めてみました。

私の手元には、戦前の「科学と模型」誌はないと思ったのだが、本棚をゴソゴソとやってみたら、数冊を発見!!。もしかしてこの中に、と期待したのだがそうは問屋が卸さない。でも、手がかりは、ありました。同誌の昭和17年新年号(第25巻1号)です。

この号に、山崎さんは「一六番ゲージ日本標準規格に就いて」と云う記事を寄せています。まぁ表題をご覧になれば、大上段に構えた凄い記事な訳ですが、カプラーについても、その第七条に定めてある。「(七)連結器 砧型とす。」と断言されてます。では、その砧型とは何かと解説を読み進むと、「連結器は十月号に書いたものが採用された。寸法もあの通り。」と書いてあるが、具体的にどんな物かは、判りません。

山崎さんのミキストでのコメントは昭和25年9月号で、その8年前に、「科模誌上でおすすめ」したと云うから、昭和17年のことであったことになり、この記事がそれだろうと思います。しかし、肝心の砧型が解説してあると云う、その前年の10月号というのを私が持っていないため、今一歩で、挫折です。

話の内容からすると、ベーカー型≒砧型と思われます。どなたか、昭和16年の10月号の「科学と模型」誌を探して、ご報告を頂ければ、我ら一同おおいに楽しめる訳です。どうぞ宜しく。


 556 Re:砧型のことでせうか dda40x 2007/10/24 10:48

> 話の内容からすると、ベーカー型≒砧型と思われます。どなたか、昭和16年の10月号の「科学と模型」誌を探して、ご報告を頂ければ、我ら一同おおいに楽しめる訳です。どうぞ宜しく。

この方がお持ちのようです。

http://www.ne.jp/asahi/bunkasyo/hagurumaya/books/kamo1610.html


 560 「科学と模型」1941年10月号の記事 ワークスK 2007/10/26 20:22

友人のS氏がコピーして送ってくださいましたので、スキャナーで読みとってアップします。全部で4ページ、原本はA5版より僅かに大きめです。p101のFig.5に「Kinuta Type」とあります。もう太平洋戦争は始まっている時期にもかかわらず、結構自由に米英の事を論じたりアルファベットを使っていることに少し驚きます。









 561 Re:「科学と模型」1941年10月号の記事  宮 崎 繁 幹 2007/10/26 23:56


ワークスKさん&お友達のSさん、有難うございました。これは、部品構成や原理において殆どベーカー型と同じですね。驚きました。しかし、連結器を自作すると云うのも凄いなぁ。今じゃとても考えられませんね。ここまで解明出来れば、ベーカー型ももって瞑すべしでは、ないでしょうか。

つけたりになりますが、この砧(きぬた)型とは、戦前の砧モデルサークルの砧のことです。東急の路面電車、玉電に二子玉川園から、砧本村へ行く砧線と云う支線がありましたが、その砧と同じ、東京都世田谷区の多摩川べりの地域のことです。今でこそすっかり開発されましたが、私が子どもの頃は、交通不便な地域で世田谷区のチベットなどと呼んでおりました。

カプラーの名前になっていたとは、今回の話の中で初めて知ったことで、大変愉快に思った次第です。


 562 Re:「科学と模型」1941年10月号の記事 松本哲堂@風雅松本亭 2007/10/27 08:56


科学と模型誌の誌面に出てくる解説図は、おおむね全てTMS誌のミキスト78号・79号に転用されているのは興味深い点ですね。

>私が子どもの頃は、交通不便な地域で世田谷区のチベットなどと呼んでおりました。

横浜市内では交通不便な町の住民に限って「自分の町こそ横浜のチベット」と誇らしげに言い合う風潮がありまして、チベットを名乗ることは勲章のような意味合いがあるようです。チベット自慢と言うか、チベットこそ精神的な高みにあると言うような、そんな語感があります。


 563 Re:「科学と模型」1941年10月号の記事 dda40x 2007/10/27 08:57

> つけたりになりますが、この砧(きぬた)型とは、戦前の砧モデルサークルの砧のことです。東急の路面電車、玉電に二子玉川園から、砧本村へ行く砧線と云う支線がありましたが、その砧と同じ、東京都世田谷区の多摩川べりの地域のことです。今でこそすっかり開発されましたが、私が子どもの頃は、交通不便な地域で世田谷区のチベットなどと呼んでおりました。

そうだったのですか。私はてっきり、本物の砧の形をしているのだとばっかり想像していました。内耳の砧骨の形に似ているのだろうか、違うような気もすると、一人悩んでいました。地名にもあるので、それかも知れないとも思いましたが、サークル名とは!。

この砧型とベーカー・カプラーは原理は同じですが、横からの射影はかなり違いますね。ベーカー型の造形には感服しています。


 564 砧型は実用になったのでしょうか? ワークスK 2007/10/27 16:36

ヤマ氏の文章には、新しい“HO”!ゲージが、正に運転に適していることを高らかに宣言する意気込みに溢れていて、その熱意には脱帽ですね。




 ただ、この砧(きぬた)型、何か変です。
 図面を見ていて、まず思ったのは、推進運転が出来るのか?ということです。ループ(A)の0.7mm径針金で押し合うなんて、どだい無理です。上辺高11mmをいくら正確に採ったところで、押し合う面が丸なのだから、どちらかが逃げてしまいます。
 一方、ラナル型は平面となっています。平面は幅2mmほどでしょうか。

 次は、フック(B)の水平回転自由度です。フックを掛ける力は、ラナル型がバネ作用で押し下げているのと異なり、砧型は重力だけで落としています。これ、べーカーと一緒です。ただし、固定するのは木ねじ1本ですから、押されたら右か左に逃げてしまうのではないかと思うのです。ラナル型は2本のビスで固定です。

 作る上では、小釘(C)をどうやってフックにはんだづけしたのかが疑問です。フックの小孔に釘を丸々通してイモヅケでしょうか。そうなると、フックの幅を広く採る必要が出てきます。小釘の先を段落ちに細く旋盤加工(あるいはドリルレース)し、フックに開けた小孔にカシメるという方法があるものの、誰にでも出来ることではありません。ラナル型は、帯金を曲げるだけです。

 こうしてみると、ラナル型をそのまま採用した方が遥かに良いものが出来たとも思います。ラナル型で難しいのは、複雑な形状のループを糸ノコで切り出すことで、至難の業と判断したのかもしれません。
 またこれにより、べーカー型の優秀さがよく分かります。ぶつけ合ったときに両方のフックが板厚しか重なりませんから、両方のフック共、確実に引っ掛かります。砧型やラナル型のフックは幅がありますから、どちらかが乗り上げてしまうといったことがありそうです。また、dda40x氏の仰る通り、シルエットが秀逸です。ジョン・アレンが愛用したのもよく分かりますね。


 565 砧型≒ベーカー型?? dda40x 2007/10/28 01:10

 機能は似ているが、やはり別物のように思えてきました。戦後ベーカー型の存在に気が付き、砧タイプと同じだということになったのではないでしょうか。
 機能も、ワークスK氏のご指摘の通りやや劣るようですし、ベーカー型のホース状の部分のデザインは素晴らしいものがあります。ケイディもその部分だけは敵いませんね。


 571 日本におけるベーカー・カプラー 佐々木精一 2007/10/30 13:29

鉄道模型大辞典の方のベーカー・カプラーの項目の記述では、カワイのモノとツボミのモノとの混乱が無いようですが、BBSの書き込みには誤りが在るようです。
508の書き込みでは、写真のモノの説明がカワイのKー1型とされていますが、これはツボミのモノです。ループの連結面にカーブの付いているモノがカワイ、直線の連結面のモノがツボミです。
また、真鍮地肌であるところからツボミの初期のモノです。後期のモノは黒染め処理と申しますか、いわゆる黒メッキが為されています。
ツボミは、「つぼみ堂模型店」を指しますが、当時、カワイモデルのカワイに対比してツボミと記されることが在りましたので、それに倣いました。
ループの連結面は、連結側と呼びましょうか、、、。意味は通じるかと思います、、、。ループの名称は在りますが、さらに、その部位の名称は定められて居りませんので、このように書かせて頂きました。
508の書き込みは、そのままで、鉄道模型大辞典の項目は、訂正が為されたと言う事なのかも知れませんが、念の為、書かせて頂きます。


 572 日本におけるベーカー・カプラー その2 佐々木精一 2007/10/30 17:23

511の書き込みにある写真2のモノは、記されているようにエンドウのモノですが、ナカセイのモノにも似たような(或いは同じ)タイプのモノが在ったと思います。
生産の簡易性を追及したエンドウやナカセイのタイプのモノの外に、生産の簡易性を追及したと言う意味では、ループやネジ止めの為の部分がダイカストで一体のモノが存在しました。宮沢のモノです。これは、今日でも生産が続いており、カワイモデルが先年、これに切り替えました。実際の生産は、日光モデルです。日光モデルのパッケージでも売られています。今日風に言うならばOEMなのでしょう。


 579 日本におけるベーカー・カプラー その3 佐々木精一 2007/10/30 21:15

カワイKー1型やツボミのモノ、エンドウやナカセイのタイプのモノや、ループがダイカスト製で一体の宮沢のモノ、カワイモデルの現行品で日光モデルのパッケージでも売られているOEMアイテム のモノの他にも、ループの膨らみが左右に伸びているモノが存在しました。
それは、ループが真鍮板で出来ていると言う意味ではツボミのモノやカワイKー1型の仲間ですが、生産の簡易性を追及しているという意味では、先駆けとなったモノです。
私は、それを、1960年前後(1959年か1961年)の夏に、札幌の狸小路に在る「中川ライター店」で購入したのです。
ループの連結面と言うかバッファーの突き当たりに相当する部分がカーブであれ、ストレートであれ、真鍮板で出来ている事ではカワイやツボミの仲間で、カーブである事ではカワイの仲間ですが、車体側にネジで取り付ける穴状の部分が、異なるのです。
カワイのモノもツボミのモノも、ループの、この車体側にネジで取り付ける穴状の部分が、それこそ「ループ」なのです。
この事は、連結面と言うかバッファーの突き当たりに相当する部分の異なる天賞堂Tー1型や鉄道模型社のモノやカツミのモノも、それこそ程度の差こそあれ、穴状の部分は「ループ」なのです。
この巻き込み状に加工する手間を、どのメーカーも、当然の事のように惜しまなかったのです。
其の中で、私が「中川ライター店」で手に入れたベーカー・カプラーは異なっており、ループの形状が、あくまでも左右対称でした。即ち、巻き込み状に形成するのではなく、左右夫々、半円状で、最後端で一ヵ所のみ半田付けしているのです。
エンドウやナカセイ、宮沢や日光モデルの生産の合理化を追及したと思われるモノの登場以前に、この様なモノが存在したのでした。
高価だった記憶も無く、外国製・米国製とも思われず、国産品と思われます。
しかし、その後、同様な製品に巡り合う事はありませんでした。未だメーカー不明の儘であります。


 577 Re:日本におけるベーカー・カプラー ワークスK 2007/10/30 20:53

各メーカー製の詳細な様子をご説明いただきありがとうございます。こうなったら、全て判る限り、明らかにしておこうと思うのですが、私自身は持っていないものばかりです。
もし、写真をご提供いただけましたら、一覧にして見ようと存じます。私のプロフィール・ページにあるメール・アドレス宛で、お送りいただけないでしょうか。


 580 Re:日本におけるベーカー・カプラー  アメリカ型鉄道模型情報オフ会 佐々木精一 2007/10/30 21:47

先日、蒲田に在る大田産業プラザを会場に日本鉄道模型ショウが開催されました。私は、233系撮影会に赴いた事務局長の代行、宮崎繁幹氏は会計担当の事務局員という役割で、そのショウの鉄道友の会のブースを御預かりしました。
そのショウの開催前、準備の済んだ寸暇を利用して、その二人参加の「アメリカ型鉄道情報オフ会」を開催しました。
もちろん、テーマはベーカー・カプラーです。私が10点ほどのベーカー・カプラーを持参致しました。
近々、宮崎氏と連絡を取り、その際の話題などをレポート致しましょう。画像なども、その際に、、、。


 631 米国の鉄道模型用連結器  宮 崎 繁 幹 2007/11/21 23:55

暫くお休みしていた連結器の話題ですが、他のことを調べていて気がついた記事があったので、ご紹介します。クラフツマン(MRC)や実物誌のRailfan & Railroad誌を発行している、Carstens Publicationの社主、Hal Carstensさんの著書"150 years of Train Models"の裏表紙の見返しに、最近100年間に使用されたカプラーの図録が出ています。しかし、ここにはベーカー型は載っていません。米国でベーカーが、マイナーであったことを示すものと言えるかもしれません。この本は、ここであったか、エフトレ時代であったか忘れたが、ご紹介した記憶があります。系統的ではないが、米国鉄道模型界の裏話がいろいろ出ていて、拾い読みするのに面白い本です。8年くらい前の出版ですが、未だ入手できたかと思います。


 637 Re:米国の鉄道模型用連結器 ワークスK 2007/11/23 20:27

宮崎繁幹さん、この本、私も買わせていただきました。当方のアメリカ型資料室で紹介しております。クダンの図録はこれですね。我々に馴染みのないものばかりで、確かにベーカーがありません。この中で"NMRA X2F by Kadee"って、何でしょう?





MR1954-06p12.jpg【追記1】TMS誌1955年7月号p294ミキストに、「天賞堂のベーカーはアメリカでキュピーズと云う名で売られているが25セントである」と書かれていることのネタが判明しました。MR誌1954年6月号p12のInternational Models(IMP)の広告に"KUPEEZE"をみつけました。1ペアが25セントと、ドンピシャです。"NEW patented"はマユツバですね。ループの膨らみが左手ですから天賞堂製に間違いありません。それにしても絵が下手(笑) 11月号p64広告では"famous KUPEEZE"なんて書いています。これ、"Coupler Ease"からの造語でしょうか。綴りが"caboose"に似ています。だとすれば、読みは「カピーズ」あたりになりますか。2018-07-06
天賞堂 キュビーズ
【追記2】eBayオークションに出品されたKUPEEZEです(当該ウエブサイト)。2019-02-24 Kupeeze_ebay2.jpg

ベーカーと同じ方式は、ホーンビーやフライシュマンも採用しています。「カプラーの不思議:記事一覧」をご覧ください。
ラベル:ベーカー 天賞堂
posted by ワークスK at 00:03| Comment(0) | 第2次掲示板ログ 2005年− | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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