2008年07月13日

第6次掲示板[778]-6 【新聞論調】学術用語 邦訳の功と罪

No.778 【新聞論調】学術用語 邦訳の功と罪 ワークスK 2017/09/14(木) 21:58
   ┣No.779 【新聞論調】天声人語も翻訳の話題 ワークスK 2017/09/19(火) 22:21
   ┣No.802 【新聞コラム】川端康成「雪国」は蒸気機関車? ワークスK 2017/10/22(日) 09:44
   ┣No.805 【新聞書評】森功著「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」 ワークスK 2017/11/06(月) 02:24
   ┣No.938 【新聞連載】全国高校鉄道模型コンテスト ワークスK 2018/09/17(月) 12:28
   ┣No.941 【新聞コラム】「鎖国」の概念 昔と今 ワークスK 2018/09/25(火) 10:56
   ┗No.945 【新聞コラム】イタリア料理よりイタリヤ料理の方が美味そう? ワークスK 2018/10/07(日) 03:06

今日、14日の朝日新聞朝刊31面に福岡伸一さんという生物学者が興味深い一文を書いていた。曰く、我が国初期の学者たちは、西洋の専門用語を分かりやすい日本語に、よくぞ訳してくれたものだという話。例えば、平行四辺形とか台形は、小学生でも正しく認識できる言葉だけれど、英語表記は、"parallelogram"とか、"trapezoid"だという。パラレル(パラレロ?)は判るとして、他はギリシャ語由来などというし、それぞれを知らなければ理解しようがない。まさに想像を絶している。(英語の時間などを参照)
 我々の趣味の関係だって、鉄道railroad、軌条rail、台車truck、模型modelなどなど、本来の意味から言葉を再構成してもらったおかげで、スンナリ頭に入ってくる。漢字の威力は偉大だ。
 で、記事の結論は、日本人にとってはこれらの訳語が身に染み付いているものだから、いざ外国へ出て行ったときに適切な源の言葉を発せない。日本語訳の優秀さが逆に裏目となる。丁々発止でやり合うときに知識がありながら表現できないのでは、基礎学力が無いとまで思われてしまう。そこで対策として、高校の教科書ぐらいには原語を併記したらどうか……というもの。(原文(朝日新聞デジタル)の事例と論旨はもう少し鮮明で、以上は当方が大幅に翻案)

確かに仰ることはよく判る。でもね。基礎的な知識や基本的な考え方を学ばなければならない年頃に、余分な暗記を強いるのは如何なものか。その分野の通用言語が英語ではなくて独語だったり仏語なんてこともあるだろう。興味を引き付けるために入り口を見せるっていう意味があるかもしれないけれど、それはもう少し先なのではないか。その前にもっと根本的に大事なもの、知恵というか思考力を会得する必要があるのではないか。
 語学なんて道具だ。覚える必要はない。その時々で辞書を引けばいいんだって考えて、勉強しなかったのは、誰だ! まあ、世の中がそういう仕組みではなかったので、ツケが回ったけれどね(笑) 現代は、テキストの機械翻訳がディープ・ラーニングでソコソコ使えるようになってきた。しゃべるのだって、コンピューターによる同時翻訳は射程圏内だ。んっ、まだまだかな?
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ところで、英語と日本語の関係を論じた拙文を"とれいん"誌9月号に採用していただいた。僭越ながら御案内


[779] 【新聞論調】天声人語も翻訳の話題 Name:ワークスK Date:2017/09/19(火) 22:21

朝日新聞9月19日の朝刊。ただし2つの別の視点。1つは、ある翻訳家が述べている話で、「殺虫剤」とすべきところを「農業の薬」=「農薬」とすれば、悪い印象が薄まってしまう。もう1つは、ソサエティーは「人間交際」「仲間連中」などと訳された末に「社会」で落ち着いた。
翻訳って思いの外、エネルギーが要るようだ。>>朝日新聞デジタル63078
そういえば、「国際連合」の原語は"United Nations"だから、本来は「連合国」。そりゃあ、敵国条項だって当然だ。

【追記1】鷲田清一さんが案内する朝日新聞2017年9月29日朝刊の「折々のことば」は、「ことばには、他人の言い方が誤用だと思ってしまうと、なぜかそれを黙って見過ごせないという、おかしな魔力がある 神永曉(さとる)……」 むむむむ……。>>朝日新聞デジタル

【追記2】神永曉という方のブログ「日本語、どうでしょう?」を発見した。小学館国語辞典編集部で30年来、辞書編纂に携わってきたという。全てを読んだわけではないけれど、言語表現の多様性というか、移ろいというか、そういうものを認めることも大事だというお立場のようだ。信濃の国の枕詞と認識されている「みすずかる」が、江戸中期の国学者賀茂真淵の思い込みだなんて……。2017-10-26


[802] 【新聞コラム】川端康成「雪国」は蒸気機関車? Name:ワークスK Date:2017/10/22(日) 09:44

朝日新聞10月22日日曜版読書ページに山本一力という作家が、美しい日本語を味わえる好例としてこの本を薦めている。確かにこの冒頭の情景描写は読者を雪深い越後湯沢へ一気に連れて行ってくれる。
 ところが、「蒸機」だと書いてあって驚愕。それが窓を開けたときの描写につながるというのだから、なにをかいわんや。もちろん、我々の常識では電気機関車! 上越線だぞ! 長い長い清水トンネルだぞ! けむりモクモクなんて有りえない。
 調べると、電化開通が1931年で川端康成の訪問は1934年だから、当時の最先端技術のたまものだったわけ。機関車はED16かな。もちろん蒸気ボイラーを積んだ暖房車が連結されていて、客室はホッカホカ。だから主人公は窓を開けたんだ! もし蒸機だったら煤煙で苦労した末の冷気でホッとするんだろうけれど、これはヌクヌクと過ごしてきて、さらに贅沢にも新鮮な外気を味わったわけ。そういう情景を思い描けば、なに不自由なく過ごしている主人公の境遇を見事に写し取っているのではなかろうか!
……読んだ記憶はあるけれど、今、手元に無い。元文を確認できていないので……
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>>出版社サイト(画像を引用)

【追記】朝日新聞2022年12月10日朝刊「歴史のダイヤグラム」で原武史氏が「『雪国』に描かれた上越線」と題して書いていた。「雪国」の冒頭は、1931年開通の清水トンネルを新潟方面行きの列車で抜けたときの描写で始まる。けれど、1967年に複線化により新たな清水トンネルが開通して、以来、新潟方面行きとして使われているから、小説のこの場面を味わうことができなくなった。ところが小説には東京へ帰る場面も詳細に描写されているので、古い清水トンネルを通る車窓風景は現在でも追体験できるとのこと。なお、1931年開通当時の電化区間は水上−石内間だけだから、水上以南は蒸機牽引。当時、上野に蒸機は入らないはずで、どこかで付け替えたか、あるいは乗り換え。大宮だろうか? 2022-12-10

【追記】Melkmalというところに「「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」 川端康成の名作に登場するトンネルの場所をご存じか? 東京2月雪の夜に想う」と題して、鉄道ライターだという弘中新一氏が書いている。トンネルポータルや湯檜曽駅ホームと上越線ループ線、さらに小説家が滞在して執筆した旅館などが紹介されている。2023-02-10



[805] 【新聞書評】森功著「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」 Name:ワークスK Date:2017/11/06(月) 02:24

11月5日(日)の朝日新聞読書欄で横尾忠則が、映画と実生活、虚像と実像という角度からこの本に迫っている。それらが「差し違える危うさ」だという。気になったフレーズは最後のところ。
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「芸術が必要以上にマジになることの危険性がここにある」

これ、我々の趣味でもいえる気がする。

>>朝日新聞デジタル

その他は、

産経ニュース 脚本家・小林竜雄が読む『高倉健 七つの顔を隠し続けた男』森功著 謎の養女が水子の墓撤去…残された不明な点

夕刊フジ “山口組芸能部長”が語っていた「高倉健さんの思い出」

プレジデントオンライン 40億円の遺産と雲隠れ「高倉健」養女の謎 有名になるほど人は孤独になる

【追記】朝日新聞2023年4月29日朝刊の読書欄に、高倉健の本が紹介された。評者は5年前と同じ横尾忠則。書名は「高倉健、最後の季節(とき)。」。著者は小田貴月(たか)で、養女となった人である。最期に残したという「まるで映画の台本のようなセリフ」とは、いったい‥‥。2023-04-29



[938] 【新聞連載】全国高校鉄道模型コンテスト Name:ワークスK Date:2018/09/17(月) 12:28



 朝日新聞朝刊で連載されている「いま子どもたちは」というシリーズが、9月16日から「鉄道模型に魅せられて」となった。その第1回は「見た景色 1/150の世界に」。完全に部活のノリ。今年がコンテスト10回目とのことで、定着したようだ。翌17日の第2回は「いい賞とりたい 芽生えた感謝」で、本気度がヒシヒシ。
 この連載は、鉄道模型にとって歴史的な出来事になると思う。

【追記1】第3回は「つけまつげ駆使、米国でも評判」。つけまつげはススキ! そんなに安価なんか。2018-09-18

【追記2】最終回は「夏の雪辱、引き継いだ技術で」。2018-09-19



[941] 【新聞コラム】「鎖国」の概念 昔と今 Name:ワークスK Date:2018/09/25(火) 10:56

朝日新聞朝刊2018年9月25日に、呉座勇一氏が書いている。かつて、江戸幕府の対外政策は「鎖国」であると教科書に載っていた。しかし1980年代にはそれを批判する研究が登場し、今では「長崎、対馬、琉球、蝦夷(地)という」4つの(窓)口論を踏まえた上で、「鎖国」概念を再評価する見解がある。そこで、高校の(受験用)授業で定説を覚え、大学に入ったら最新の学説に触れるというのは2度手間だという意見を聞いた。しかし、通説、常識は変遷する‥‥。
 そう、そのとおり。大学教育の目的の一つは、これに気付かせること。物事は、ただ暗記すればいいというものではないのだ。
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当方だって、小中学校ではcgs単位系で、高校ではMKS単位系。さらに大学に入ったらSI単位(系)となって、面食らったものだ。ところが就職すると、恐ろしいことに古い古い重力単位系だった。キログラムを重力加速度で割って質量に換算するって、理解できるかぁ(笑)
 思い出した。高校のとき、化学の青森という教師に連れられて信州大学繊維学部へ行った。オープンキャンパスというわけではなくて、何かのついでで数人が付いて行ったようだ。古めかしいカイコの研究をしているとばかり思っていたら、学生が新しい高分子を作っているというので驚いた。「私にも発明できるか」と尋ねたら、「出来る」と断言されたっけ。だからといって、その道へ進もうとは‥‥。
 小学6年のとき、高校の文化祭を見に行ったら、メルクリンを走らせていた。そこで、その頃疑問だった電源の大きさについて尋ねてみた。相手は電圧がどうの、電流がどうのと説明し始めた。関係が式であらわされると察しは付いたけれど、どうも質問に直接結びつく感じがしなかった。あとで勉強すれば、ワット数のこと、馬力のことである。ところで、当方がこの概念を小学生レベルに説明できるようになったのはいつのことだろう?
 あっ、話が横道に逸れた。


[945] 【新聞コラム】イタリア料理よりイタリヤ料理の方が美味そう? Name:ワークスK Date:2018/10/07(日) 03:06

朝日朝刊10月6日(土)のbe、「街のB級言葉図鑑」に飯間浩明氏が書いている。アラビヤ、キャビヤ、オーストラリヤ等々、五十音の「イ」列に続く「ア」は、「ヤ」になるという話。1954年の国語審議会報告で「ア」としようという案が出て、1991年には外来語の表記基準で「ア」が標準となったそうな。で、イタリヤの方が古風で食欲をそそるという結論。>>朝日新聞デジタル79913
 こんなことは我々には遠の昔から既知で、大いなる悩み。ワイヤー、ギヤ、ダイヤモンド、タイヤ等々、枚挙にいとまがない。「イ」列ばかりでは無くて、「エ」列の次も同じ。エヤーブレーキ、ヘヤードライヤー、ベヤリング。どうするんだ!

「しあわせ」を「しやわせ」、「ピアノ」を「ピヤノ」としゃべる人は結構多い。ピアス、ビアホール、ベアアップ、マニア、リアカー、アイデア、パイオニア、ケアマネージャー、チアリーダー、ニアミス、リアル、レアルマドリード、レアメタル、ペアリング、レアアース、セアカゴケグモ、キアゲハ、いあんかい、てあか、ねあか、めあかし、せあぶら、じあまり、じあげ、つきあかり、けあげ、けあがり、ねあげ、あいあいがさ、みあわせ、みあきる、たべあるき等々
 複合語で頭にくる場合はそうでもないかな。
posted by ワークスK at 12:33| Comment(0) | 第6次掲示板ログ 2014年− | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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