とれいん誌9月号関連で話題としたセルロイド客車モデルをMRフォーラムに投げかけたら、12日後に書き込みがあった。なんと「MR誌1953年1月号に載っている」と教えられた。オハイオ州のStan Carpという人物の所有で、他に、Kinichiro HirataがStan氏のために特製したATSF 3462 4-6-4と、Kawai Model Shopの85-ton South Shore電機が紹介されている。発言者の推察は「これらは全て東京で入手したもので、セルロイド客車のアメリカへの輸入は無かった」。なお、MR誌は客車を"molded plastic"と表現する。むかしのTMSで、帰国するアメリカ人モデラーのため平田欣一郎氏がお土産を特別に作った、というような話を読んだ記憶があるのだけれど、それが見つけられない。6888

ところで、同じ年の12月号の製品紹介によく似た客車が出ていた。ただし、側窓の上縁の円弧具合などが微妙に異なり同一製品ではない。側板と妻板の材質は"a thermo-plastic that is flexible, will not crack, is unaffected by any solvents commonly encountered in model railroading"だという。なんだ? 軟質ビニールか? メーカーはCentral Lines Mfg. Co.で、コーチ、コンバイン、スリーパーとメールカーを発売。前2者の窓割りは天賞堂製とソックリ。プロトタイプはB&Oミュージアムに保存と書いている(これ)。
TMS誌では1953年4月号の「キットは生きている 木造客車あれこれ:中尾豊」がこのセルロイド・キットだった。2両分から3両を作るムキ教の応用? 車体長は136ミリ。これは、モールドが歪んでいることの解決策でもあるようだ。さらに同年7月号「スティーム・カーNo.25:山崎喜陽」は、蒸気式のドゥードルバグに仕立てる記事で、特集シリーズの「変った車輛30題」に再録されている(Gゲージ鉄道模型・風雅松本亭)。
【追記2】とれいん誌の筆者にモデルを見せてもらった。未組立のキットもお持ちで、この側板と妻板の室内側となる面が真っ平らだったことが意外だった。連想したのは、木型で成形する落雁などの和菓子。ことによると、凹型はこの技術を使った堅木で、水アメ状のセルロイドを手作業で詰めたのかもしれない。"NEW ONE"の文字は焼きゴテか。2019-09-28

貫名栄一氏からいただいた画像
【追記1】実物の井笠鉄道のジ1とジ2は超軽量化のため、窓ガラスがセルロイドだったとブログ「軽便鉄模アンテナ雑記帳」にあった。恐ろしい! 松尾和彦さんという方の記事「セルロイドと鉄道」も興味深い。2019-09-11
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