
我が国の代表的な蒸気機関車であるD51などの軸配置にミカドMikadoという固有名詞があって、その起こりは1897年にボールドウィン社が輸出した国鉄9700型だった(>>大辞典)。さらにそれが第二次世界大戦中は彼の国でマッカーサーMacArthurと呼ばれていたことは年季の入ったモデラーなら常識だろう。思い立って、このマッカーサーがMR誌とTrains誌でどう使われたかを調べてみた。
まず冒頭が両誌合わせての初出となるTrains誌1942年6月号(p50)で、Central of Georgia鉄道が形式名をMKからMacAへ変更したことを伝えている。発端が企業体だったことに驚く。ファンではなかった。囲み部分はMR誌の同じ6月号で、Trains誌のこの事態を同年4月6日の手紙が予言していたとのこと。差出人の"Harold Carstens"は、後のRMC誌編集長である。この頃、ダグラス・マッカーサー将軍はフィリピンで活躍中だったはず。日本に対する切り札と考えられていたのだろうか。
この後、MR誌の記事では1942年10月号p480と、1943年1月号p13に、何の断りもなく自然に「マッカーサー」が使われている。
そして、MR誌1942年12月号(p556)に「ホワイト式を使おう」というコラムが書かれた。2-8-2をミカドとか、マッカーサーとかいろいろと呼んだら、20年後の若者たちが戸惑うではないか‥‥というような論調と読める。署名は無いけれど、雑誌社としての見識の顕れなんだろう。
でも、この表にあるということは、この頃には蔓延していたという証拠なのではないか。鉄道会社自体が動くということは、この話題が一般社会で流通していたとしか考えられない。新聞やラジオで取り上げられたのかも。なにせ、このときまでファン向けの雑誌には現れなかったのだから。

これ以外、両誌では、ずっと2-8-2か、Mikado。編集部で書き直すことがあったのかもしれない。次は、戦後23年目のMR誌1968年2月号(p2)に掲載されたタイコ社の広告。

なお、「初出」などと断定できるのは、ネット上のRailroad Magazine Indexが使えることに加えて、MR誌75年分と、Trains誌70年分のDVDのおかげ。
【追記】同じように検索した結果、「ピンクレディー」も書き換えた。我が国の女性歌手は関係なかった。2022-07-30
ラベル:Steam Locomotive 大辞典
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